人・本のタネ

米国における最高の演説の一つ 『” I have a dream ” キング牧師』

 1963年8月28日、ワシントンDCのリンカーン巨石像の前に25万人もの人が集まりました。 それは、黒人に対する人種差別撤廃を求める、史上最大級のデモでした。 その中心にいたのは、34歳の若き牧師でした。

なぜキング牧師はこれほどまでに民衆の心を動かしたのか。
なぜキング牧師の演説はこれほどの年月を過ぎても受け継がれるのか

https://youtu.be/eQ6q2cnVXqQ

崇高なテーマと明確なビジョン

 一見このデモは、黒人が白人社会に対し怒りをぶつけるという構造のデモであったように感じますが、それは違います。 なぜなら、参加者の4人に1人は白人であり、演説の中でも白人に対して憎しみを煽ることなく、白人をも「兄弟」と呼んでいました。
このデモは「自由、平等、尊厳」といった、人間にとって普遍的なテーマについて訴えているのです。

演説に際立つ特徴

 キング牧師の演説には、聴衆を引き込む独特なテクニックがあります。
 
 ①強調したいフレーズを繰り返す。  ここぞ、という所で似たフレーズを繰り返し畳みかけることで聴衆にそのワードを何度もインプットさせます。
* “One hundred years later, the Negro is still 〜”(100年の後、依然として黒人達は〜である)
* “Now is the time to 〜” (今こそ〜する時です)
* “We can never be satisfied as long as 〜.”(〜しないかぎり、私たちは絶対に満足することはありません。)
* “Go back to 〜.”(〜に帰ろう。)
* “I have a dream that 〜!” (私には、〜という夢がある!)
* “With this faith we will be able to 〜”(この信念をもってすれば、我々は〜できる)

* “Let freedom ring from 〜!” (〜から自由の鐘を打ち鳴らそう!)
③直接的な言葉を避け、抽象的で詩的な表現を使う。具体例で聴衆を飽きさせないようにするのは上手いスピーチの方法と言われますが、キング牧師は逆に抽象的で詩的な表現を多く使用しています。
* 「黒人たちは物質的繁栄の広大な海に浮かぶ貧困という孤島に暮らしている」
* 「私たちの子どもが『白人専用』の標識によって彼らの個性をはぎ取られ、彼らの尊厳を奪われている」
* 「自由を求めたために迫害の嵐に見舞われ、警察の残虐行為の暴風にさらされる」

④有名な文書の引用
随所に、以下のような文書の引用が見受けられます。

    * 「正義が水のようにこぼれ落ち、公正さが強力な流れになる」(アモス書5−24)
    * 「我々はすべての人々は平等に作られている事を、自明の真理と信じる」(アメリカ独立宣言)
    * 「ついに自由だ、ついに自由になれた。全能の神に感謝しよう。ついに我々は自由になったのだ」(黒人唱歌)

話し方

たった16分ほどの演説ですが、ジェットコースターのようにテンションが上下して聴衆を引き込みます。
〇序盤
ユーモアを交えながら格調の高い話し方でとても静かに知的に話しはじめる。

〇中盤
徐々に具体的な内容となり、声ヒートアップしてくる。

〇終盤
簡単な単語だけで感情に強く訴える繰り返しフレーズ(I have a dream)を絶叫するように連呼して聴衆の魂をゆさぶる。

最後に

私はこの演説を聴いて、「同期のさくら」というドラマを思い出しました。
さくら演じる高畑充希さんが、ドラマの中で何度も「私には夢があります。〜〜」と繰り返すシーンがあるからです。

おそらく、脚本家の遊川和彦さんはこのキング牧師の演説を基に作られたのでしょう。

「同期のさくら」を視聴して感銘を受けた方も多いと思います。
キング牧師の演説から約60年経ってもなお受け継がれ、人々に影響を与え続けている”米国史上最高”と言われるこの演説。
是非皆さんも自らの観点から視聴してみてはいかがでしょうか

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