企業のタネ

日本の未来のスーパーマーケット 『フーマー』

10年ほど前からECの時代が来ました。

ここで言うEC(electronic commerce)電子商取引と訳し、インターネット上でモノやサービスを売買することを指します。
みなさんもアマゾンや楽天などのECサイトで一度は何かを購入したことがあると思います。
すごい便利な世の中になりましたよね。

しかしアリババ創業者であるジャック・マーはこう言っています。

『10年後・20年後にはECは無くなっている。その代わりにニューリテールが出てくるだろう。これはオンラインとオフラインと物流の融合である』と。

え、Amazonや楽天がなくなるの?と思った方もいるかもしれませんが、

ジャック・マーが言っていることは、アマゾンや楽天がなくなると言うことではありません。
オンラインとオフラインをユーザーが区別しなくなり、企業側も販売や物流をこのような論理で分けなくなると言うことです。

OMOの観点からも、今後、アフターデジタルの時代になると、わざわざ「e=電子」とつける必要はなくなることは容易に想像できますよね。

大手企業への就職は危険?!5年後生き残る企業の特徴とは?』の記事の中で今後の時代はオンラインの中にオフラインが包括されるとお伝えしましたが、
まさに今回ご紹介する『フーマー』という企業はオンラインとオフラインを区別していない企業です。
まだまだオフラインありきの日本企業にとっては目から鱗になる企業だと思います。

ここから『フーマー』を紹介していきますが、以前私が投稿した
大手企業への就職は危険?!5年後生き残る企業の特徴とは?
をお読みになっていない場合、理解できない箇所が多々あると思いますので、合わせてお読みいただければと思います。

アリババによるOMO型スーパーマーケット フーマー

今中国の中のOMO型企業の中で最もビジネスとして成功している企業はアリババであり、『フーマー』と言うスーパーマーケットになります。

フーマーは2016年から展開されているEC機能を持った生鮮食品スーパーマーケットになります。
2018年末までで60店舗まで増やそうと計画していたのですが、それを大きく超え、100店舗超えを達成しているほどの人気スーパーです。

オンライン・オフラインの両方で注文することができ、
ここまでオンラインとオフラインの融合・連動している企業は世界を見ても例がない。アマゾンGOよりも実用的で展開が早い』と世界各国から注目を浴びています。

フーマーの特徴

フーマーの最大の特徴は『利便性の高さ』と『新鮮で豊富な食材を素早くお客様に届ける仕組みです。

驚くことに、店舗から3キロ圏内であれば30分以内に配送してもらえるのです。

最近は無人レジなどを活用して人件費をいかに抑えるか。そのためにオンラインをどう活用するか。というのが企業側の議論の焦点になっていますが、
フーマーの店舗に入ると、店員がたくさんいることにまず驚きます。
店員は実店舗を訪れた顧客の対応をするだけでなく、専用端末を持ってオンラインからひっきりなしに入ってくる注文を端末で受け、商品棚から受注商品をピックアップしていきます。ちなみにこのピックアップ時間は3分以内と決められています。

専用バックに商品を詰め終えると壁に備えられたハンガーに引っ掛けます。
壁から天井には専用バック用のベルトコンベアーが動いており、それを使って天井まで上がって店内を通り抜け店の裏にある配送センターまでたどり着きます。
ここまでの所要時間はたったの5分。
配送センターにはドライバーが待ち構えていて残りの25分以内で配送するという流れです。

多くの顧客は、まず『利便性の高さ』から、オンライン注文をするそうですが、フーマーの実店舗が近くにあることを知ると一度はお店へ来てくれます。
そして、天井を走るバックや鮮度の高い商品や海鮮フードコーナーなどに驚く。
実際に生きた魚を生け捕りにしてその場で調理した料理が運ばれてくるのを見て、改めて鮮度の高さを実感するのです。

ECの場合、食材の新鮮さや品質状態を確認することができないので、野菜やフルーツをECで購入することに抵抗がある方も多いとお思います。
しかし、フーマーの場合、フードコートでさっきまで生きていた魚を調理して運ばれるのを見ると、「この魚が30分で家に来るだけなのか」と思えるので、次回からはオンラインでも海鮮を注文してくれます。

フーマーのコンセプトは、「食品ECの倉庫に顧客がウォークインできる」という形式ですがそれだけではありません。
スーパーマーケットでもあれば生鮮食品ECの倉庫でもあり、配送センターも兼ねていて、さらにフードコートもあるのでレストランでもあるのです。

つまり、オフラインとオンラインの双方の良いところを組み合わせ、複数の機能を効率的に兼ね備えたスーパーマーケットと言えます。

お客様のメリット

お客様にとっては、「その時1番便利な方法で選びたいだけ」という考え方が根底にあります。

日本のネットスーパーの場合、「前日の夜11時までに注文しておかないといけない」などの制約がありますが、フーマーの場合、自宅までの帰り道で、「今日はこれを作ろう。」「これを食べよう」と思ったものを注文し、帰宅したらそれと同時に届くといったショッピング体験ができます。

送料も無料なので、自分の目で見て決めたいと思うのであれば、実店舗を訪れて自分の目で見て、ネットで購入。手ぶらで帰って30分後には自宅に届く。という選び方をしてる人もいます。

まさに融通が利く次世代スーパーマーケットと言えますね。

フーマーの販売促進活動

皆さんは普段、家にチラシが届いても見ることもせず捨ててしまうことってありませんか?

最近ではLINEにお得情報などを送ってくる企業もありますが、私の場合は開けることもなく削除してしまいます。

それは、「どーせ私には関係ない」と思っているからです。

しかし、フーマーは日本企業のように全員に同じクーポンや情報を与えません。

フーマーはアリババの運営なので、「アリペイ」というキャッシュレスシステムを採用しています。
なので、直接店舗に行って購入するときも、レストランで食べるときもオンラインデリバリーも、その全てのユーザー行動データ・購買データをアリババは「アリペイ」を介して把握できます。

なのでその購買データをフル活用して、一人一人の行動データを把握し、個人に最適化したオススメやクーポンやアプリに掲示することができるのです。

参考

全員に同じクーポンを送っていると思うとあんまり魅力に感じませんが、自分に合ったクーポンを送りました!と言われると、覗いてみようかなと思いますよね笑

それが、「ちょうど自分の欲しいものだった!」と思えば、その後もまたお得情報が来た時は活用したいと思うはずです。

産業ヒエラルキーの頂点である「決済システム」を持った企業だからこその戦略だと思います。

エンターテイメント性

フーマーは高い効率性を兼ね備えつつ、それと同時にエンターテイメント性の高い店作りを行います。

例えば、「壁や天井にオンライン注文用の専用バックが吊られたベルトコンベアが動いている」というのも、別にわざわざお客さんの目に晒さずに裏を通せばいいですよね?

それをあえてせず皆が見えるところで行うのも工場見学のような視覚的な楽しさを取り入れているのです。

魚を生け捕りにして目の前で捌くのも、小さな築地市場に来たような臨場感を感じることができます。
しかもそれをその場で調理し、調理する様子も見ることが可能です。

こうした体験をすると、次からは安心して生鮮食品をネットで注文することができますよね。
まさに「アフターデジタルにおけるリアル接点の役割」を果たしており、体験価値や感情価値をそのまま体現している店舗であると言えます。

成功を支える裏側のテクノロジー

フーマーは「アリペイ」での購入が多いため、たとえオンライン上ではなく、実店舗であってもお客さんは携帯を使い、アプリ経由で購入を完結させます。
ユーザー一人一人が見ている画面やそこで紹介されている商品は全て人口知能によってパーソナライズされていますので、たとえ同じアプリであっても全員が違った画面になっています。

そしてその集めた莫大なデータを活用し、店舗ごとに商品棚のラインナップや在庫を変えているのです。

つまりその地域に住んでいる人のニーズに最適化された棚づくりが行われるのです。
もちろん、在庫管理にもビックデータを活用していますので、売れ残りの在庫はほとんど発生せず、農家とも情報を共有することで細かく調整しているのです。

今までの小売業とは考え方が全く異なることがよくわかると思います。

勝算しかないビジネスモデル

実はアリババは、この「フーマー」を出店させる前から、利益が出る(勝算がある)ことをわかっていました。

それはなぜか?

それは消費行動や移動データを活用することで、どの土地にどんな人が住んでいてどのような生活をしているのか、がわかっていたからです。

特にフーマーの場合、「25〜35歳の若くして結婚した女性で、価格よりも鮮度や品質を気にする人」をメインターゲットとし、それに狙いをすませて出店しているのです。

今後

最近ではフーマーを模倣する店舗が多く出てきているようですが、決済システムを持っているフーマーはどの企業よりも情報量と情報スピードがはやいので問題なく売上の拡大ができいる状態です。
アリババはフーマーのビジネスモデルを「ニューリテールモデル」として、世の中のスタンダード業態にしようと考えています。
このようなモデルが当たり前になった時、アリババが持っている購買データを、他企業が買いに集まってくるという構造は近いうちに起こることかもしれませんね!

まとめ

今回は中国のスーパーマーケットを紹介しました。
ECが台頭してきた今、小売業界の変革は強く求められている時代となっています。
その中で今回ご紹介したフーマーや、以前ご紹介したAmazon GOはもちろんですが、最近ではアメリカのウォルマートが新たな事業を行うために特許申請を行っています。

どんな特許かというと、自分の自宅がお店になるというものです。
VR技術を活用し、自宅をお店として再現。
VR内で商品を手に取ると、ウォルマートの倉庫から自宅に商品が発送されるという画期的なものです。

このビジネスが実現するかはまだわかりませんが、今後も大きく世の中が変わっていくことは間違いありませんね!

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