企業のタネ

信用が数値化される時代『アント・ファイナンシャル』

信頼していたのに裏切られた…。
あいつを信用したのが間違いだった…。

なんて話はよくありますよね。

『金の切れ目は縁の切れ目』というように、どんなに仲が良く、信用していても裏切られることは実際あります。

それが知らない人だとどうするか。

そのために保証人制度というものがあります。

しかし、最近では人工知能を活用して、人の信用度を数値化し活用するというビジネスを始めている企業があるのをご存知でしょうか?

それが、中国のアリババ傘下の金融会社『アント・ファイナンシャル』が2015年にはじめた『ジーマクレジット』です。

企業概要

詳しい企業概要は省きますが、2014年に設立された歴史の浅い企業ではありますが、2017年の時点でゴールドマンサックスグループの時価総額950億ドルを上回っている企業になります。

企業概要をより詳しく知りたいという方はこちら↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%9D%E9%BA%BB%E4%BF%A1%E7%94%A8

ジーマクレジットとは?

ジーマクレジットは単体のサービスではなく、アリペイ機能の1つです
アリペイは中国において、広く利用されており、高級ブランドの店舗から個人商店、屋台、電気水道、さらには税金までもアプリから支払える状態にあり、個人の支払いデータを収集することができます。

また、アリババはもともとECであるため、オフラインだけでなく、オンラインの購買データも多く所有しているのです。

ジーマクレジットはこうしたデータを活用し、具体的にはアリペイの利用履歴を中心に提携サービスの利用状況やアリペイ上の友人も含めて膨大なデータを集め、人工知能で分析し、ユーザーの信用スコアを算出していきます。

個々のスコアは基本的に『支払い能力』を可視化したもので、評価軸は「個人特性」「支払い能力」「返済履歴」「人脈」「素行」でスコア幅は350〜950点です。

人工知能に点数化されるなんて怖い…と思われるかもしれませんが、精度は非常に高いためユーザーからの信頼度は高く、ジーマクレジットの利用者は5億2000万人にも及びます。

点数を上げることに躍起になる理由

ジーマクレジットは出身大学や職業わ自分で登録することで点数を上げることもでき、社会的信用度を示す基準にもなっています。

わざわざ個人情報を提供してまでスコアを上げたくない…。

そもそも自分の信用を数値化なんてしたくない…

と思われるかもしれませんが、
なぜ自らの情報を提供してまでスコアを上げるのに躍起になるかというと、
点数に応じてアリババグループや提携企業、団体からの特典を受けられるからです。

それは、賃貸の敷金やホテル、レンタカーサービス、海外旅行利用時のwi-fiレンタルデポジットが不要になるとか、街中で充電器や傘の無料レンタルなど多くがあります。

それ以外にも、海外の渡航ビザの取得プロセスが短くなる、賃貸物件を借りやすくなる、個人融資を受けやすくなる、異性からモテる…などなど、ユーザーへのメリットが波及しています。

ユートピア?それともディストピア?

日本人にこういったサービスを話すと、このサービスに対して嫌悪を抱く方が多くいます。
たしかに自分が数字で判断されるなんて嫌な気分かもしれませんが、
それは、このサービスの負の側面にスポットライトを当てすぎているからでもあります。
たとえば、信用度が低すぎて新幹線のチケットが買えなかったという事例です。
しかし、私の兄は中国で暮らしていますが、普通に暮らしていれば窮屈で肩身の狭い感覚はなく、むしろ信用スコアのサービスは「データを提供すると点数が上がってメリットがもらえる」というゲーム感覚で楽しめます。

今までの中国では、都市戸籍を持つ人と農村戸籍を持つ人で生まれながらに権利が異なり、農村戸籍の人が都市に住もうとしても社会保障や生活保障制度が受けられない。医療保険や年金もまともに受けられないという状況でした。

しかしジーマクレジットさえあればたとえ農村出身でも自分の努力次第で点数を上げ、この点数を担保に人生の選択肢を増やすことが可能になります。

実際、中国国民はゲーム感覚でやっており、最近では中国版フリマアプリで「ジーマクレジット600点以上の人から買う」と絞り込み検索できるほどに浸透しております。

企業側のメリット

企業はこの「ジーマクレジット」の情報を購入することで与信審査の一環として活用することができます。
就職の面接や、賃貸物件、婚活のマッチングなど様々な場面で指標として活用できます

また、顧客の信用度を確認するために様々な書類を確認しなければならないという業務もこの「ジーマクレジット」によって省くことが可能になり、余計なコストがかからなくなります。

【中国人マナーの向上??】

中国人はマナーが悪いという印象を持ってる人が多いと思います。

しかし、このジーマクレジットによって、中国人のマナーは格段に上がりました。
「善行を積むと評価してもらえる」と考えるようになったからです。

【日本でも信用の数値化は流行る?】

企業側のメリットにばかり目を奪われて、「ジーマクレジット」のアイディアをそのままコピーすると、事業として上手くいかない可能性が高いの実情です。

なぜかというと、それは、
データ量の差』にあります。

アントファイナンシャルはアリババ傘下であり、オンラインとオフライン双方の莫大なデータを所有しています。
日本の企業には、アリババほど寡占状態にある企業がないためスコアの信憑性が低くなってしまう可能性があります。

また、日本の特性として、
スコアの低い人には罰則や不利になるシステムを導入しようと考える企業があります。

しかし、私たちユーザーとしては、罰則のあるサービスなんて使いたくないですよね…笑

中国の企業は「ユーザーに好きになってもらって、高い頻度で使ってもらうように」という感覚が染みついています。
なので、この「ジーマクレジット」も犯罪などの余程の行為をしない限りスコアが上がることはなく、
「良いことをし続けるとメリットがある」という加点方式になっています。

【まとめ】

中国のベンチャー企業は常に、「買い手と売り手にどんなメリットがあるのか」を念頭に入れながら事業を進めていきます。
実利主義だからこそwin-winの関係を作ろうと考えるのです。

日本の場合、単純に模倣したサービスを提供することが多いので、単純模倣ではなく、行動データを駆使して、ユーザーの生活やシステムをどうアップデートするのかという視点が重要になると思います。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です